拝啓
時下、皆様にはますますご清栄のこととお慶び申し上げます。この度、第30回日本川崎病学会学術集会を京都において開催させていただくこととなりました。日本川崎病学会は研究会から学会へと組織換えし、更なるステップアップを目指して積極的な学術活動を進めております。そのような背景の中で第30回学術集会会頭を仰せつかり、その責務の重さに身が引き締まる思いをしております。
ご存じの通り、川崎病に対する急性期治療の面では免疫グロブリン大量静注療法により心血管合併症の発症率も大きく減少してきました。同時に、分子生物学的な手法の導入により病態解明が進んでおり、最近では、Genomics~Proteomicsの面からの検討も始まっています。しかしながら、現在も患者数の増加が続き、第20回の全国調査でも4年連続して年間1万人以上の発症を見ていることが報告されています。いまだ原因解明には至っておらず、不全型、IVIG不応例、心血管後遺症などの問題も解決されていません。成人期に入った既往者も11万人を超え累計既往者(約24万人)の半数になろうとしています。このため、動脈硬化との関連から成人期での後遺症がどのようになっていくか、早急な検討が求められています。
今回の第30回学術集会では、上記の諸問題を念頭に入れ、昨年の学術集会でもテーマとなった「心血管後遺症をゼロに」を目標として、「病態から考えるより安全で効果的な治療戦略の確立」「成人期に向かってより長期的な病態の解明と管理法の確立」、そして「川崎病の原因究明」という主要なテーマに関して、基礎系・内科系・外科系の先生方、そして各分野の若い研究者の方々にも多数ご参加頂き、参加者の全員が意見を述べることが出来る形で情報交換と熱い議論をして頂けるようプログラム構成を計画しました。
特に、現在の治療戦略と血管障害の考え方をしっかりと確認し合うことで、互いに英知を集めて更なる医療の発展に向けて議論を交わしたいと思います。そのため、「全国調査からわかってきたこと」や、分子生物学的観点から効果的で合目的である「分子標的療法」の可能性についてエキスパートからレクチャーをして頂きます。ランチョンセミナーでは、「川崎病病因論の最前線」と「成人期川崎病既往者の血管障害の実情」を分かりやすく解説して頂きます。また、現在ホットな問題となっているIVIG不応の難治性川崎病に対する治療戦略に関して、各施設の取り組みを基にして病態から考えたその戦略の意義と臨床的有用性・問題点を議論していただきます。さらに、熊本大学循環器内科 小川久雄教授には「抗血小板療法」、東北大学循環器内科 下川宏明教授には「血管内皮機能障害と動脈硬化」についてご講演を頂きます。いずれも遠隔期にいたる医療管理上での重要なポイントです。なお、今回は特別企画としてイブニングセミナー「この症例をどうする?~対処と解決策を考えよう~」を企画しました。日常診療の現場で皆様が苦心されているケースを紹介していただき、コメンテータとともに、参加者全員で議論して行きたいと考えています。
今回は101題というこれまでにない数多くのご応募を頂きました。この場をお借りして御礼申し上げるとともに、プログラム構成上、発表形式の点で必ずしもご希望に添えない点がありますことをお詫び申し上げます。第30回という一つの節目の会ということもあり欲張ったプログラム構成になっておりますが、是非とも皆様方にはこれからの川崎病診療と研究を支える各分野の若手医師・研究者とともにご参加頂き、大いに情報交換をして頂くことをお願いいたします。今回の学術集会が今後の川崎病診療の発展に、そして既往者のQOL向上に、また、世界に学術的情報発信を行う会として日本川崎病学会がさらに発展する上で、少しでもお役に立てればと願っております。皆様のご参集を心よりお待ちいたしております。
平成22年10月吉日
敬具
主な討議内容 ●レクチャー: ①全国調査から分かってきたこと ②病態から考えた分子標的治療の可能性 ●特別講演: ①日本における冠動脈疾患治療のエビデンス~抗血小板療法を中心に~ ②血管内皮機能障害と動脈硬化 ●ランチョンセミナー: ①川崎病の病因解明は最前線 ②成人期川崎病の冠イベントの実態 ●シンポジウム:「難病川崎病の治療戦略」 ①IVIG反応不応例のバイオマーカー ②IVIG不応に対する治療プロトコール ●イブニングセミナー:「この症例をどうする?」 ①破裂が危惧される巨大冠動脈瘤 ②冠動脈内に血栓形成が・・・。 ③狭窄性病変が進展する冠動脈瘤 ④その他