昭和42年に川崎富作博士によって発見された川崎病(Kawasaki disease)は当初、selflimitedで良好な疾患と考えられていましたが、突然死が生じ、その原因が冠動脈瘤に基づく心筋梗塞であることが判明しました。小児の後天性心疾患合併を生ずる特別な疾患として、さらに、世界の子ども達を襲う小児科領域の重要な疾患と位置づけられるものとなっています。本邦では、年間1万人を越える発生数の増加を呈し、現在まで川崎病に罹患した患者さんは約25万人を超え、成人に達する患者さんも多数占めるようになってきました。免疫グロブリン超大量静注療法がグローバルスタンダードとなり、速やかに治療に反応する例が多くなりました。しかし、同療法に不応例が、15~20%と多くあります。冠動脈瘤の発症頻度は減少していますが、巨大冠動脈瘤など重症の後遺症例の発生は横ばい状態です。こうした中で、心臓に後遺症を残さない治療を求めて日本中の小児科医は患者さんに当たっています。一方、川崎病の病因は未だに解明されておらず、ウィルスや細菌等の微生物の検索、免疫、個体の特異性なども遺伝子レベルで 解析が進められています。川崎病が発見されて50年を経過した現在、第31回を迎えた本川崎病学会学術集会は、未だに明らかにされていない原因、免疫グロブリン超大量静注療法を中心とした各種治療法、成人期に達する遠隔期の管理など各命題に関し、基本に立ち返り、今後に示唆を与える学術集会にしたいと考えています。「基本とは何か」については難しいですが、特に診断・治療・Follow upが「正しく行われているか」を問い直す機会にしたいと考えています。そのため、教育セッションを設け、川崎病を専門にしていない小児科医・循環器内科医、研修医はじめ若い医師にも多数ご参加いただき、下記に示しましたスローガンに基づき大いに議論いただく計画を進めています。
平成23年3月吉日
第31回日本川崎病学会学術集会 会頭
昭和大学横浜市北部病院循環器センター 教授
上村 茂