川崎先生を偲んで

加藤太一
Taichi Kato

名古屋大学小児科
准教授 
日本川崎病学会 幹事

Department of Pediatrics, Nagoya University Graduate Shool of Medicine
Associate professor

川崎先生が永眠されたという連絡を受け、ただただ呆然としました。

それは学生時代の病理実習の時のことでした。スライドガラスを渡されてスケッチをしながら所見を記載していくのですが、その際に1歳心筋梗塞という病理組織を渡されました。この年齢でも心筋梗塞を起こすのだなあと思っていたところ、川崎病という疾患で、この病気は日本人の医師によって発見された病気だと教わったことが、私と川崎病の最初の出会いでした。

それから数年して小児科医となってからは、川崎病の患児を実際に診療するようになり、川崎病はより身近なものになりました。全国学会に出席するようになり、川崎先生を初めてお見かけしたときは、凄い方を直接見ることができたという何とも言えない高揚感を感じました。

その後、川崎病研究でもいくつかの仕事をするようになり、共同研究で知り合った小林徹先生にお願いして仲介していただき、初めてご挨拶をさせていただいたのが、まだ昨日の事のようです。

学会では、懇親会での乾杯のご挨拶をされるお姿をいつも楽しみにしておりましたし、国際学会の休憩時間に、たくさんの外国からの参加者が川崎先生と一緒に写真を撮り、サインをもらおうと列をなすことに、なぜか私も嬉しくなっていました。いつも学会では最前列で参加され、川崎病の原因究明と治療法の確立のために、大変な熱意を持たれているお姿には、常に尊敬の念を感じておりました。

これから、残された私たちは、川崎先生の求められた原因究明と治療法の確立に近づくよう、更なる努力をしなければならないと決意を新たにしております。

川崎先生からは、たくさんのことを勉強させていただきました。

ご冥福を心からお祈り申し上げます。

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