川崎富作先生の思い出 Memory of Dr. Tomisaku Kawaski

鈴木啓之
Hiroyuki Suzuki

和歌山県立医科大学小児科
教授
日本川崎病学会 副会長

Department of Pediatrics, Wakayama Medical University
Professor

川崎富作先生の訃報に接し、ご遺族の皆様には心からお悔やみ申し上げます。

川崎先生には、同じ職場で直接教えて頂いたことはありませんでしたが、学会、懇親会等を通じて多くのことを学ばせて頂きました。

私が、川崎病と深くかかわりを持つようになりましたのは、私の恩師である故小池通夫教授の指導によるものです。小池先生と川崎先生は川崎病を通じて非常に懇意にされていましたので、川崎先生には何回か和歌山にご講演に来て頂き、また講演会後の懇親会では、たえず満面の笑顔で当時若手であった私にも気さくにお話してくださいました。その際に、川崎病が認知されるまでのご苦労をお聞きし、臨床家として自分自身が見た現象をありのままに受け入れ、既存の概念に反することであっても諦めず粘り強く真理を追究すべきであるとの姿勢を教わり、30年近く前の話ですが、感激したのを昨日のことのように感じています。先生から教えて頂いたことがもう一つあります。1990年に出版された書籍、“運・鈍・根・感・厳”の中の“医療は暖かく、医学は厳しく”は、患児・家族の立場に立って臨床医学を究めた先生ならではのモットーであり、私の目標・座右の銘とさせて頂いています。

この追悼文に、思い出の写真を2枚添付させて頂きました。和歌山で、川崎病学会を2回開催する機会がありました。写真1は、小池教授が主宰された平成6年の時の懇親会での1コマ、写真2は、私が主宰した平成30年11月の1コマです。平成30年には会場出席が叶わなかったためビデオレターでのご出席をお願いしました。そのビデオレターから写真を作成させて頂きました。

先生のご生前のご厚情に深く感謝いたします。

偉大なご功績を偲んで心からご冥福をお祈り申し上げます。

Dr. Kawasaki in photos

小池教授が主宰された平成6年の学会時の懇親会での1コマ
平成30年11月の第38回川崎病学会時のビデオレターからの1コマ

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